Proton VPNレビュー
プライバシーを前面に打ち出すVPN。実際に日常で使うとどう感じるかを検証した。
公式サイトへ Proton VPNセットアップと最初の印象
Proton VPNのアプリは、Proton Mailをはじめとする同社の他サービスと共通のアカウント基盤で動く。すでにProtonの他サービスを使っている人なら、追加のアカウント作成なしにVPNを始められるのは地味に便利だ。Windows、macOS、Linux、iOS、Androidに加えて主要ブラウザ向けの拡張機能があり、初回起動時は国別・都市別のサーバー一覧から接続先を選ぶか、「速い接続」ボタンで自動的に近いサーバーへつなぐかを選べる。全体的なデザインは派手さよりも分かりやすさを優先している印象で、設定項目も整理されて配置されている。
Proton VPN独自の機能として目を引くのが「Secure Core」だ。これは通常の接続経路に加えて、スイスやアイスランドなど同社が管理するプライバシー保護に強いとされる国のサーバーを経由してから目的のサーバーへ抜ける、多段階のルーティングオプションになる。オンにするかどうかは接続画面から簡単に切り替えられ、常時オンにするか、より高い匿名性が必要な場面だけ使うかを選べる柔軟さがある。
日常的な使用感
通常のサーバー接続であれば、日々の利用感は他の主要VPNと大きくは変わらない。バックグラウンドで動作し、ネットワークの切り替わりにも自動的に追従する。ただしSecure Coreを有効にすると、通信が複数の経由地を通る分だけ経路が長くなるため、体感速度が落ちることがある。これは仕様上避けられないトレードオフであり、プライバシーを一段強化する対価として理解しておくべき点だ。どの程度速度が落ちるかは接続先や自分の回線環境によって変わるため、具体的な数値をこの場で一般解として示すことはしない。
キルスイッチは検証中、想定どおりに動作し、接続が切れた瞬間に通信が漏れることはなかった。NetShieldと呼ばれる広告・トラッカー・既知の悪意あるドメインをブロックする機能も標準で搭載されており、有効にしておくだけで余計な通信を減らせるのは日常使いで地味にありがたい。スプリットトンネリングにも対応しており、特定のアプリだけVPNの外で動かしたい場面にも対応できる。
プライバシーポリシーと管轄区域
Proton VPNはスイスを拠点としており、これはEUや米国の主要な情報共有の枠組みとは異なる法域として、同社のプライバシー訴求の中心に据えられている。公式には、アプリの一部をオープンソースとして公開していることや、ノーログ方針・アプリのセキュリティについて独立監査を受けたと表明していることを、他社と並ぶ差別化ポイントとして打ち出している。とはいえ、これも他の3社のレビューと同じ立場を取る――当編集部はその監査報告書の中身を独自に検証したわけではないため、監査結果を確認済みの事実として断定することはしない。詳しく知りたい場合は、Proton公式が公開している監査報告書を直接読むことをすすめる。
料金体系
Proton VPNの特徴のひとつは、無料プランが用意されている点だ。無料プランは接続できるサーバー地域や速度に制限があるものの、契約前に基本的なアプリの使用感を試せるのは他の3社にはない選択肢になる。有料プランは、他の民生用VPNと同様に契約期間によって段階的な料金設定になっており、長期契約ほど月あたりの実質負担が下がる仕組みだ。ここでも具体的な金額はあえて記載しない。料金は変動するため、確認済みで現在も正確な数字だけを載せたいという方針は他のレビューと同じだ。現在の料金は、このページのCTAリンクからProton VPN公式サイトで確認してほしい。
対応プラットフォームとデバイス
主要なデスクトップ・モバイルOSはひととおりカバーされており、ブラウザ拡張機能も用意されている。同時接続台数や、より技術的なルーター設定への対応範囲はプランによって変わるため、正確な数字はProton VPN公式の現行プラン情報を直接確認するのが確実だ。この点は他の3社のレビューとも共通する注意点になる。
弱点・注意点
Secure Coreによる追加のプライバシー層は魅力的だが、経由地が増える分、速度面でのトレードオフが常につきまとう。無料プランはお試しには十分でも、サーバーの選択肢や速度に制限があるため、本格的に使うには有料プランへの切り替えを検討することになるだろう。また、専用サーバーの種類の豊富さという点では、NordVPNのように幅広いカテゴリを揃えているタイプの競合と比べると、選択肢はやや絞られている。
どんな人に向いているか
Proton VPNは、単にVPNが使えれば良いというより、運営会社の成り立ちや拠点の法域まで含めてプライバシーを重視したい人に向いている。無料プランから試せる点も、いきなり契約するのに抵抗がある人にとっては入り口として使いやすい。反対に、とにかく幅広い専用サーバーの種類や最大限の速度を優先したいなら、NordVPNのレビューや両者の比較記事も確認してから判断することをすすめる。プライバシーの考え方そのものをもう少し掘り下げたい場合は、プライバシー重視で選ぶVPNガイドもあわせて読んでほしい。
良かった点
- スイスの法域とプライバシー重視の設計思想
- Secure Coreなど、プライバシーを一段強化する経路オプションを選べる
- NetShieldによる広告・トラッカーブロック機能を標準搭載
- 無料プランがあり、有料契約前に基本的な使用感を試せる
改善してほしい点
- Secure Core経由の接続は追加の経由地を挟むため、体感速度が下がることがある
- 無料プランはサーバーの選択肢や速度に制限がある
- 専用サーバーの種類の多さでは、幅広いカテゴリを揃える競合に見劣りする場面がある
よくある質問
Proton VPNの無料プランで十分ですか?
無料プランは基本的なVPN機能を試すには十分だが、サーバーの選択肢や速度には制限がある。自分の用途に有料プランが必要かどうかは、まず無料プランを実際に試してから判断するのがよい。
Secure Coreは常時使うべきですか?
Secure Coreは通信を複数の経由サーバー経由でルーティングする追加のプライバシー層で、多くの場合速度とのトレードオフになる。高度な匿名性が必要な場面以外では、通常のサーバー接続で十分なことが多い。
Proton VPNの「ノーログ」表明は検証されていますか?
同社は独立監査を受けたと表明しているが、当編集部はその報告書の内容を独自に検証したわけではない。判断材料にしたい場合は、Proton公式が公開している監査報告書を直接確認してほしい。